オープンG#システム

抜群の反応の良さを生み、管の自然な響きを一段と引き出す理想的なシステム

近代フルートの祖であるテオバルト・ベームが設計したフルートのG#キイは、本来オープンG#と呼ばれているシステムでした。このシステムはG#の音孔が一つで通常開いており、レバーを押すことで音孔を塞ぐというシンプルなシステムです。これに対し現在多くのフルートで採用されているクローズドG#キイシステムは、G#音用の音孔は管体裏側にあり通常閉じて(クローズして)おり、レバーを押すことで開き、音孔の数は一つ多くなります。
アルタスでは、オープンG#システムのフルートも、全モデル標準価格と同価格で製作しています。

オープンG#では、裏G#のトーンホールが無くなり左手小指のレバーが常時開の表のG#キイと直接連結することにより、レバーを押すとG、離すとG#の音がでます。(下記写真)

通常のフルート(クローズG#)は、左手小指のレバーを押すと常時閉の裏G#キイが開きG#の音が出ます。(下記写真)


オープンG#システムの利点

  1. トーンホールが1つ少ないため効率よく気柱の共鳴が起こり音抜けの良い自然な響きが得られる。
  2. トーンホール以外にキイ・ポスト・座金も減るため楽器の重量が軽くなる。
  3. 1つのG#キイを単独で操作するというシンプルな構造のためEメカニズムは不要。
  4. タンポが1つ減り、キイシステムがよりシンプルになることで、調整も容易になり全体のバランスも狂いづらくなる。

現在はクローズドG#キイシステムのフルートが主流ですが、アルタスフルート奏者であるウィリアム・ベネット氏やデニス・ブリアコフ氏はこの長所を認め、以前からオープンG#キイの楽器を愛用しています。最近ではプロ奏者の中でこのシステムの優位性が改めて見直され、愛用者も徐々に増えてきています。


オープンG#キイはオフセットで製作

オープンG#キイシステムにおけるG#キイは全てオフセットで製作いたします。これは理想的なカップの開きとキイアクションを得るためです。音孔ハンダ付けモデルの場合は、A音孔をインラインで製作することが可能ですが、この場合もG#キイはオフセットとなります。

オープンG#キイとブリチャルディ・キイ

ベーム式キイシステムは開いているキイを必要な時に押して閉じるというシンプルな考えのもと構成されています。オープンG#キイはこの考えに沿ってデザインされたシステムの一部で合理的で自然な運指を実現しています。左手H-B♭にはその機能性から現在一般的になっているブリチャルディ・キイを用いており、アルタスではこのオープンG#キイとブリチャルディ・キイの組み合わせは最も機能的なシステムの一つと考えています。